投資信託のヒストリカルリターンを自分で算出する場合

ファイナンス

ホントのリターンはわからない

そもそも、ホントのリターンは誰もわからないです。
将来のリターンがもしわかるなら、この世で一番リターンの高いものに全額投資すればよいからです。
もちろん、そのようなことができるのは神様以外はいません。

とはいえ、数ある投資商品を選択するうえでリターンは気になります。
いくらホントのことはわからないとはいえ、国内債券と外国株式のリターンは違うということは直感的にはわかります。

機関投資家は投資を考えるうえで、2つのリターンを参考にしています。
それは
期待リターンとヒストリカルリターン(過去リターン)
です。
期待リターンとは様々な考え方により理論的なリターンを計測する方法です。詳細は別記事でお伝えいたします。ポイントは、どんなに先進的な手法でも主観的であることです。
一方、ヒストリカルリターンとはその名のとおり過去の実績リターンです。実績なので客観的なデータです。ただ、将来も同じリターンというわけではありません。

投資信託購入時にあるリターンはこのヒストリカルリターンです。実績リターン(客観的データ)なので、責任を負わず各証券会社が掲載できる指標だからと推察しております。

リターンの世界は奥深いので、まずはヒストリカルリターンを知ることから始めることが大事かと思います。
今回は、具体的なヒストリカルリターンの算出方法をご紹介します。

ヒストリカルリターンの算出方法

eMAXIS 日経225インデックスを使用して説明します。
元データはこちらです。

基準価格は
2022年2月末:30,847
2021年2月末(1年前):33,312
2017年2月末(5年前):20,663
2012年2月末(10年前):9,816
です。

直近1年のヒストリカルリターン(年率)は
HistoricalReturn_1y=30,847÷33,312 -1 = -0.074 = ▲7.4%
と計算されます。

同様に直近5年のヒストリカルリターン(年率)は
HistoricalReturn_5y=30,847÷20,663 -1 = +49.3%
とは計算されないので注意が必要です。
しれっと出てきた用語、年率がポイントです。

何事も比較したいときは基準を合わせると思います。
1日でできる腕立て伏せの回数と、1か月でできる腕立て伏せの回数を比較しないと思います。
1日から1か月のどちらかに基準を合わせると思います。
リターンも同様です。
長期投資を検討する場合には、1年あたりのリターンすなわち年率リターンを考えるのが一般的です。よって、複数年のヒストリカルリターンの場合は年率換算をしなければなりません。

ここで単純に年率換算するのであれば
49.3 ÷ 5 = 9.9%
です。このような方法を算術平均といいます。

しかし、一般的には幾何平均を用いて計算します。なぜ幾何平均かは別ブログで紹介します。
幾何平均の場合は以下のように計算します。
HistoricalReturn_5y=(30,847÷20,663)^(1/5)-1 = 8.3%

同様に直近10年間のヒストリカルリターン(年率)は
HistoricalReturn_10y=(30,847÷9,816)^(1/10)-1 = 13.0%
と計算されます。

ヒストリカルリターンの式を一般化すると
HistoricalReturn_X年間=(基準時点の価格÷基準時点よりX年前の価格)^(1/X年間)-1
となります。
ポイントは、基準時点と基準時点よりX年前の価格の2つしか見ていないことです。
基準時点間の期間の時系列の動きはヒストリカルリターン算出に何も考慮していません。
ヒストリカルリターンは複雑そうに見えますが、実は2つの情報しか加味していないということを理解してくと活用しやすくなると思います。

ヒストリカルリターンのまとめ

投資信託のように投資商品の説明にはリターンという記載があります。
これはヒストリカルリターンです。
真のリターンは誰にもわからないですが、まずはヒストリカルリターンがどのように計算されているか把握することが大事だと思います。
仕組みを理解することで、自らが考えるホントのリターンの検討材料とすることが重要です。
投資商品選定時の一助となれば幸いです。

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